2014年スイスのロールでCanon5Dで撮り下ろした、マルローの同名小説(1935)に基づく「侮蔑の時代」に、ストローブ=ユイレの旧作5本『労働者たち、農民たち』『フォルティーニ/シナイの犬たち』『早すぎる、遅すぎる』『エンペドクレスの死』『黒い罪』からの抜粋を加えた6部構成の作品。
精神分析医ジャン・サンドレットの2014年の談話に基づくひとつの情景を再現した短編。初対面の精神科医に拳銃を向ける、精神を病んだ男は、アルジェリア戦争で現地人の村を焼き払うよう命じた上官の中尉を殺したと語る。医師はその後25年かけて彼の心的外傷後ストレス障害を治療した。
パリの東洋料理店の金魚の水槽の映像に続き、精神分析家エメ・アグネルがマルローの小説「アルテンブルクのクルミの木」第二部の一節を読み上げ、最後にルノワールの映画『ラ・マルセイエーズ』の抜粋が引用される。
2015年4月1日、スイスのシュタートキノ・バーゼルで撮影監督レナート・ベルタの70歳の誕生日を祝うために作られた。ベルタがウーゴ・ピッコーネと共同で撮影監督を手がけた『オトン』の抜粋と撮影現場の写真で構成。
2014年9月以後、ポンピドゥ・センターが企画に関連する映画作家に発注している動画コレクション「目下の進捗状況は?」の1本として、ストローブとユイレの全作品上映に際し、ストローブが自宅で猫たちを撮った動画。
スイスのレマン湖。ひとりの男が、同地出身のジャニーヌ・マサールの小説『湖の人びと』(2013)より、1942年に対岸フランスの対独抵抗運動に協力し、1944年に社会党の地元支部を結成した、同地の漁師の軌跡を朗読する。
科学技術で人民を統制する英・米・ソ連それぞれの帝国主義を批判し、自由を尊重するフランスを擁護したジョルジュ・ベルナノスの1945年の政治煽動文の一節を湖畔を歩く男が暗誦。各国が感染症対策を強化する2020年4月5日にネット上で公開された。
◾️特別上映『アメリカ(階級関係)』スペシャル
カフカの未完の長編小説「失踪者」(旧題「アメリカ」)の映画化。故郷を追われ、船で単身アメリカにやってきたドイツ人青年カール・ロスマンが様々な階級関係の中で挫折と抵抗を繰り返す。主要場面はハンブルクとブレーメンで撮影された
西ドイツの全国テレビ局ARDで1983年11月13日に放映。同年7月~9月に主にハンブルクで撮影された映画『階級関係』の助監督で、ドラマルシュ役を演じた39歳のハルーン・ファロッキ(1944年~2014年)による同作の同年8月の制作現場記録。長尺版(65分)は2007年にミュンヘン映画博物館で上映。
2007年5月22日、ドイツの第2テレビ(ZDF)で放映。ペーター・ネストラー(1937年生)監督。「時」を擁護するストローブ=ユイレの発言と彼らの経歴紹介と共に、ドイツの美術家オットー・パンコック(1893年~1966年)の木版画、『雲から抵抗へ』(79年)、『あの彼らの出会い』(06年)を紹介する。
◾️特別上映『エンペドクレスの死』スペシャル
フリードリヒ・ヘルダーリンの1798年執筆の未完の二幕悲劇を完全映画化。古代シチリアの詩人哲学者エンペドクレスが民衆と訣別し、自ら死を選ぶまでの物語が、シチリアのラグーサとエトナ山中腹を舞台に、晦渋な詩句によって語られる。
ヘルダーリンの「エンペドクレスの死」の1820年執筆の第三稿の映画化。ストローブ=ユイレはこの第三稿は映画化不可能と考えていたが、ベルリン・シャウビューネ劇団による舞台脚色版に不満を覚え、原作に忠実な映画化を決意した。
2010年8月11日、第63回ロカルノ映画祭で上映。1986年夏、シチリアのエトナ山のふもとで撮影された『エンペドクレスの死』の助監督ジャン=ポール・トライユ(『満月の夜』(84年)の撮影技師)による同作のビデオによる制作現場記録。
◾️特別上映『シチリア!』スペシャル
シチリア出身の作家ヴィットリーニの長編小説「シチリアでの会話」の一部分を、序曲と六つの楽章に再構成。主人公は15年ぶりにシチリア内陸の貧しい母の家を訪ねる。彼は道中に偶然出会った人々と会話し、母に昔話を聞き、山間部の村の研ぎ屋と立ち話をする。
1999年9月8日、第56回ヴェネツィア国際映画祭で上映。1941年10月6日刊の33歳のヴィットリーニ『シチリアでの会話』に基づき、1998年初夏にシチリアで撮影された『シチリア!』の22歳の助監督アンドレアス・トイシャート(1975年生)による同作の制作現場記録。
2001年6月1日、ブリュッセルの映画館「ノヴァ」で『アン・ラシャシャン』『シチリア!』と共に上映。1998年初夏にシチリアで撮影された『シチリア!』の28歳の助監督ジャン=シャルル・フィトゥーシ(1970年生)による同作の制作現場記録。
2003年1月15日、パリで限定上映。2001年7月11日、フランスのアルテで放映された『現代の映画(Cinéma, de notre temps)』の一篇、40歳のペドロ・コスタ(1958年生)監督『映画作家ストローブ=ユイレ』(72分)の再編集版。『シチリア!』第三版の1999年秋のフランスでの編集時の現場記録。
2008年3月6日、カリフォルニアのバークリ美術館と太平洋映画保存館のペドロ・コスタ回顧上映「静物動画:ペドロ・コスタの映画作品(Still Lives: The Films of Pedro Costa)」で上映。40歳のペドロ・コスタ監督『あなたの微笑はどこに隠れたの?』の六つのアウトテイク集。