ウクライナ在住の女性監督の初期代表作。非教条的として、ソヴィエト当局に封印され、87年に初公開。シングルマザーとその息子との物語を、流麗な映像で瑞々しく描く。
ツルゲーネフの短篇集「猟人日記」の一篇「狼」を、ウクライナの映画作家バラヤンが映画化。ある森番の悲劇を描いた本作は、パラジャーノフによって絶賛された。
文豪コロレンコの中編「悪い仲間」を映画化。判事の息子と浮浪児の兄妹との魂の交流を鮮烈に描きだす。当局により一部カットを余儀なくされたいわくつきの作品。
50年代から、ソヴィエトが世界初の有人宇宙飛行に成功した60年代初頭にかけての、幼なじみのカップルの青春を描く。ベリコフは本作でシェフチェンコ国家賞を受賞。
交際相手を求めてキエフの街に貼り紙を掲出した中年女性のドラマ。ソヴィエト公開時、グラスノスチ後、初のコメディと喧伝された。モントリオール映画祭主演女優賞受賞。
キエフの駅で偶然再会した泥棒レオニードと高級官僚ワレーリー。スターリン死後の50年代末とペレストロイカの80年代を行き来しつつ、幼なじみの二人の物語が描かれる。
19世紀末、若き民俗学者がベロルシアの村を訪れる。泊まった屋敷の女主人は何かにおびえていた。ベロルシアの作家コロトケーヴィチの小説を映画化したホラー映画。
第二次大戦中、ナチス・ドイツ軍の侵攻を受けたベロルシアの村人は無惨に虐殺される。ファシストの非人間性や運命に翻弄される少年の内面を描いたクリモフの代表作。
ロシア革命後の国内戦の時期。飢餓に瀕したヴォルガ河一帯の人々は、中央アジア穀倉地帯の豊かな町タシケントを目指して旅立つ。コンチャロフスキーが脚色を担当。
タシケントの寮に暮らす主人公は消防士。大規模火災の出張から戻ると、恋人の心は彼から離れていた。実際のエピソードをもとに60年代の青春模様を描いた群像劇。
1920年代、ソヴィエト政権は中央アジアのバスマチ運動に苦しんでいた。主人公マクスーモフは、単身、反政権派の懐に飛び込む。ソヴィエト・ウエスタンの代表作の一つ。
1942年から43年にかけて、従軍記者ロパーチンは休暇で故郷タシケントを訪れる。ジョルジュ・サドゥール賞を受賞し、ゲルマンの国際的な名声を一気に高めた作品。
カザフの文豪アウエーゾフの短編小説を、コンチャロフスキーらが脚色し、キルギス出身のオケーエフが映画化。革命前のカザフの山村を舞台に、少年と狼の交流を描く。
モスフィルムの監督ソロビヨフがカザフの撮影所で制作。カザフの町を舞台に、戦後の過酷な日々を生き抜いた少年の成長を描く。ヴェネチア国際映画祭特別賞受賞作品。
カザフ最大の都市アルマ・アタを舞台に、ヌグマノフが映画大学の卒業制作として、人気ロックシンガーのヴィクトル・ツォイを主役に迎えて監督した異色アクション映画。
第二次大戦中、グルジアでブドウ園を営む農夫が、戦地で負傷した息子を見舞いに村を出発する。英雄物語ではなく個人的体験として戦争を描いたチヘイーゼの代表作。
バスで知り合った女性にプロポーズを決意した若者の運命。セリフや言葉を排し、映像と音楽だけで作られた映画大学の卒業制作。60年代グルジアの映像実験の代表作。
自由に跳ね回る傘をつかまえ、軽やかにスキップする男に少女が引き寄せられる。グルジアの監督コバヒーゼは、軽妙な短編で注目されるも、実験性ゆえに不遇をかこった。
グルジア出身のパラジャーノフが、グルジアの国民的画家の運命と作品に捧げたオマージュ。様々な映像手法を駆使しつつ画家の生涯と作品に迫るドキュメンタリー。
フランスの作家ティリエ「バンジャマンおじさん」の舞台をグルジアに移し、宴会と踊りに満ちた陽気な暮らしを描く。モスフィルムとグルジアの撮影所の共同制作。
幻のナシの苗木を探して、孫を連れてグルジアを旅する老人のロードムービー。昔ながらのもてなしの美徳を保ちながらも、大きく変貌していく町や農村の姿が描かれる。
グルジアののどかな農村に、トビリシから音楽家たちが訪れる。村人と音楽家たちのひと夏の出来事が、ドキュメンタリー的かつ詩情豊かな映像によって、綴られてゆく。
美しい娘が、貧しい恋人から引き離され、金持ちと結婚させられたことから起こる悲劇。美しくも残酷な処罰のシーンが印象的な、アブラーゼのグルジア史三部作の第二作。
革命前夜の時代、古いグルジア民謡をすべて採集しようと若い作曲家が、録音機を持ってグルジアの村々を回る。グルジアの重鎮作家の、祖国への思いを秘めた作品。
久しぶりに再会した二人の初老の女性。彼女たちの人生に起こる急転回。女性の生き方に焦点を当てた作品を作り続けているグルジアの女性監督ゴゴベリーゼの代表作。
作家ソソは「青い山」という小説の出版許可を得ようと管轄の役所を訪ねるが……。官僚社会を皮肉ったコメディ。現代グルジア映画の世界的評価の発火点となった重要作。
キルギスの作家アイトマートフの短篇小説を、キルギスの代表的な監督オケーエフが映画化。初恋の思い出にとらわれた画家テミールと妻子との関係を描いた詩的なメロドラマ。
森で暮らす少年の「夢」の世界を、大人たちの「現実」が押しつぶしていく。アイトマートフが原作、脚本を担当。「キルギスの奇跡」と呼ばれたキルギス映画の代表作。
過酷な自然のなかで暮らす「山の狩人」と呼ばれる白豹族の生活。勇敢な若者コジョジャシを主人公に、キルギスの大地と民族を描いたベルリン国際映画祭銀熊賞受賞作品。
オスマン帝国時代の虐殺や1920年の赤軍侵攻によって、民族としての危機にされられたアルメニア人の運命を、家族を失った一人の男の心の傷とその再生を通じて物語る。