中原昌也への白紙委任状 映画解説 (解説文:中原昌也)

8月10日(月・祝)15:00-/18:30-

デリンジャーは死んだ
Dillinger è Morto

1969年|95分|デジタル
監督:マルコ・フェレーリ

しっかりしたアングルの中、演技でなく手持ち無沙汰で寛ぐ故Mピコリ。時折、低予算映画で背後に明らかにスタッフがいない場面(飛行機墜落事故の速報待ち報道部屋状態)を観る機会があるが、それが全編立派なスタッフで展開される無人の恐怖。デジタル撮影の到来を予言(?)した映画史に残るべき名作!

8月11日(火)15:00-/18:30-

Not Wanted
Not Wanted

1949年|91分|デジタル
監督:エルマー・クリフトン、アイダ・ルピノ

『ハイ・シェラ』『孤独な場所』の出演だけでなく『ヒッチ・ハイカー』や『二重結婚者』などの演出も手掛けた名女優が、最初に監督したとされる作品(未表記)。サリー・フォレスト演じるサリーが、愛する場末のピアニスト(演じるは後の名優監督のショーンの父、レオ・ペン)を求め、荒涼とした都会を彷徨う心の旅路。まだ女性監督というものが認知される以前の時代であったのを考えれば、孤立した女性への暖かな視点に、涙が止まらない。

8月12日(水)15:00-/18:30-

魔女狩り将軍
Witchfinder General

1968年|86分|デジタル
監督:マイケル・リーヴス

熱狂的なDシーゲルファンのイギリス青年が残した3本の内の、最後の作品。他の2本がホラー、本作が魔女でVプライスだからといってホラーじゃない!いわば中世が舞台の西部劇としか形容しようのない復讐譚。この後、撮られることのなかった巨匠の映画について、大いに考えたい。

8月13日(木)15:00-/18:30-

デス・ベッド
Death Bed

1977年|77分|デジタル
監督:ジョージ・バリー

誰も知らなかったアメリカのオカルト秘史。それは人里離れた屋敷で、毎夜人喰いベッドが語る!マイナーインディ作品で、70年代にこんな作品が存在したとは!Kアンガー的な悪魔退散の儀式で、大団円を迎えるという、ぜひ観たかった呪いの一本!

8月14日(金)15:00-/18:30-

鏡の中の亀裂
Crack in the Mirror

1960年|97分|16mm(スタンダードサイズ版)
監督:リチャード・フライシャー

一人二役以上はPセラーズもEマーフィもやっている。しかし、メインキャスト全員が一人二役以上を演じるとは⁉︎混乱が予想されるのを超えて、フライシャーの群像劇は新たな世紀を迎えた現在でも衝撃的である。

8月15日(土)15:00-/18:30-

殺人蝶を追う女
Woman Chasing a Butterfly of Death

1978年|110分|デジタル
監督:キム・ギヨン

我が国でも熱狂的なファンが多い、ギョンの代表的傑作の一本。物語という概念が吹き飛んでしうほどの、恐ろしい展開の嵐。ここまでして彼が撮りたかった映画とは、いったい何だったのか?「映画を捨て、街に出よう」を実践する開放感に、観客は涙を禁じ得ないだろう。