主人公グゼルをめぐる3つの恋愛物語。グゼルと夫であるタクシー運転手、グゼルの愛人とある老人の4人が同様なシチュエーションからスタートして、それぞれの心の世界の変化によって全く異なった物語へと展開していく。トルコのイスタンブールで撮影され、95年のカンヌ映画祭「ある視点」部門で上映された。
1900年、ガージャール朝の第5代国王の時代にイランに映画が紹介される。映画を見てヒロインに恋をした国王は、スクリーンから飛び出してきた女優を追いかけ回し、俳優になることを熱望するが…。喜劇仕立ての映画の中にイラン映画史における名作の断片をふんだんに取り入れ、イラン映画の歴史に対してオマージュを捧げた作品
マフマルバフ監督が「映画生誕100年を記念して俳優志望の人々を題材とした映画を作る」と新聞に広告を出すと、オーディション当日数千人の人々が殺到して大混乱となる。監督は既にその模様を撮影し始めていたのだ。参加者は監督の前で、歌い、泣き、笑い、機関銃乱射により倒される演技をしていく。
マフマルバフ監督は高校を中退してパーレビ王朝打倒の反体制運動に加わり、17歳の時に警察官から銃を奪おうとナイフで襲うが失敗し逮捕される。監督と警察官本人が、20年前に二人の人生を運命的に結びつけた重要な事件を映画で再現する。個人史、ドキュメンタリー、フィクションの絶妙な組み合わせによる作品。
主人公は映画大学の最終学期に在籍しており、卒業論文の準備をしなければならない。彼女はボーイフレンドを故郷に訪ねて、彼が持つイラン映画史の本をすべて借りてテヘランに戻る。列車の中で本を読んでいると、革命前からの映画史における傑作のシーンが次々と目に浮かんでくる。2015年に釜山映画祭が企画した作品の完全版。
アボルファズル・ジャリリ
Abolfazl Jalili
1957年イラン中央部のサヴェー生まれ。70年代から8ミリで自主映画製作を始め、イランテレビに入ってドキュメンタリーや短編映画を作る。第3作の『かさぶた』(87)で注目を集め、後にイラン映画を代表する監督のひとりとなった。主な作品に『春へ』(85)『ダンス・オブ・ダスト』(92)『7本のキャンドル』(95)『トゥルー・ストーリー』(96)『少年と砂漠のカフェ』(01)『ハーフェズ ペルシャの詩』(07)。