アテネ・フランセシネマテーク 映画の授業 作品解説

母


МАТЬ

1926年(86分・35mm版)
監督:フセヴォロド・プドフキン

革命前のロシア。息子が革命運動にかかわるのに反対する母は、警察の甘言にそそのかされて、息子が隠した武器を密告する。息子の逮捕で自分の行動の愚かさに気づいた母は、政治犯たちの脱獄計画を助けるようになる。主役級にモスクワ芸術座の名優をキャスティングし、ラストの並行モンタージュが印象的なプドフキンの代表作。


十月

十月
ОКТЯБРЬ

1928年(103分・35mm版)
監督:セルゲイ・エイゼンシュテイン グレゴリー・アレクサンドロフ

皇帝が退位しても戦争は終わらず、反戦デモは弾圧を受けた。戦争継続を続ける臨時政府の不満が募る中で革命家レーニンが率いるボリシェヴィキが支持を集め、武装蜂起により政権を奪取する。1917年のロシア大革命を、エイゼンシュテインが「知的モンタージュ」の実験を交えながら描く。

ドン・キホーテ

ドン・キホーテ
Дон Кихот

1957年(106分・35mm版)
監督:グレゴリー・コージンツェフ

騎士物語に熱狂するあまり空想と現実の区別がつかなくなり、自らを騎士と思い込んで武者修行に出たドン・キホーテは、トンチンカンな活躍を繰り返しながら、あくまでも純粋に自由を求めて進み続ける。有名なセルバンテスの原作に、当時の人びとの心境を重ねつつ映画化されたソ連初のシネスコ映画。


ハムレット

ハムレット
Гамлет

1964年(150分・35mm版)
監督:グレゴリー・コージンツェフ

シェイクスピアによる有名な復讐劇を、研究書「われらの同時代人シェイクスピア」を書いたコージンツェフ監督が映画化した。音楽はショスタコーヴィチが担当。上層部の反対をはね返して作られ、イギリスでも好評を博した。1964年ヴェネチア国際映画祭審査員特別賞受賞。

我らが門の内にて

我らが門の内にて
Within Our Gates

1920年(77分・DVD版)
監督:オスカー・ミショー

D.W.グリフィス監督の大作『国民の創生』を意識して制作したと言われるミショーの代表作。黒人映画作家による現存する最古の作品。学校運営の資金集めのためにアメリカ北部にむかった黒人女性シルヴィアの受難を描く。人種差別による激しい暴力描写が物議を呼び、映画館主による上映拒否運動も引き起こしたいわくつきの作品。
※上映素材の関係で、一部お見苦しい点がございます。


神の継子たち

神の継子たち
God's Step Children

1938年(70分・DVD版)
監督:オスカー・ミショー

ジョン・M・スタール監督「模倣の人生」とウィリアム・ワイラー監督「この三人」から着想を得たと言われる。ある未亡人のもとに預けられた赤ん坊。彼女はナオミと名付けられ、自由奔放な少女へと成長する。やがて肌の白いナオミは周りの黒人に嫌悪感を持ちはじめる。そして彼女は修道院に送られることになるが…。
※上映素材の関係で、一部お見苦しい点がございます。

55年夫妻

55年夫妻
Mr. & Mrs.'55

1955年(152分・35mm版)
監督:グル・ダット

両親を亡くし、女権運動家の叔母に引き取られたアニターは、20歳になると亡父の遺産が手に入るはずだったが、遺言状によりあとひと月以内に結婚しないと遺産が全額寄付されてしまうことを知る。アニターは、叔母の勧めで漫画家プリーダムとの偽装結婚を計画するが……。コメディ作家としての資質が開化した中期の傑作。
プリント・写真提供:国際交流基金


紙の花

紙の花
Kaagaz Ke Phool

1959年(148分・35mm版)
監督:グル・ダット

50年代ヒンディー映画の巨匠グル・ダット監督・主演の半自伝的メロドラマにして最後の監督作。インド初のシネマスコープ作品だが興行的には惨敗。 人気はあるものの家庭がうまくいっていない映画監督のスレーシュは偶然出会ったシャンティを主演女優に抜擢し恋に落ちるが、それを許せない娘に仲を引き裂かれ、名声を失い次第に転落して行く。
プリント・写真提供:国際交流基金

大公の財政

大公の財政
Die Finanzen des Grossherzogs

1924年(80分・デジタル版)
監督:F・W・ムルナウ

ムルナウによるコメディ作品。財政危機に直面した地中海に浮かぶ小さな島国のアバコは、汚染を覚悟で硫黄鉱床の採掘を許可するか、裕福なロシアの王女との結婚を成し遂げるかの二択を迫られる。君主は国を救うために行動を起こすが、その間に革命の準備が進められていた。高画質デジタル版で日本初上映。


死滅の谷

死滅の谷
Der Mude Tod

1921年(98分・デジタル版)
監督:フリッツ・ラング

結婚を間近に控えた青年は突然現れた死神に連れ去られてしまう。死神は青年の恋人である娘の懇願に応じて、人の命を司る三つの蝋燭を消さなければ彼の命を助けることを約束する。娘は青年を取り戻すために、世界を巡る冒険に出る。フリッツ・ラングの初期作品で、脚本はラングの妻であるテア・フォン・ハルボウ。デジタル修復版を日本初上映。