小説家として成功したゾンソクは、15年前に消え去った妻の行方を探すうちに不思議な女ソヨンと出会う。二人はゾンソクのように家族や恋人を失った人々に出会い、やがて信じられない真実と直面する。現実と過去が混在する陰鬱なファンタジー。監督デビュー後から意欲的に作品を発表し続けたシン監督が、チョンジュ・デジタル・プロジェクトの一環として製作した長編六作目で、自身もカメオ出演している。
裕福な都市の女が貧しい農家を訪れる。そこには妊娠した女学生と彼女の母が住んでいた。女は人知れず少女の子供を養子にしようとするが、やがて予期せぬ事態が起こり、女と少女の関係に深刻な亀裂が入る。タイトルの「プレイス」は物語の背景になる家と同時に、子供を宿した少女の子宮のメタファーでもある。在カナダ韓国人二世のシンが、自らのルーツである韓国を舞台に、長期間の綿密なリサーチと脚本執筆に取り組んだ衝撃作。
身体障害者の兄と重患の母を養っているソヨンは、職場で問題を起こしてクビになり、さらに病院からは入院費の支払いを督促されてしまう。窮地に立たされたソヨンは、自らの人生を生きるため、次第に冷酷になってゆく。貧困や労働、障害など、韓国社会のあらゆる問題を、冷静に鋭く見据える。キム監督による長編三作目の本作は、2015年にソウル・インディペンデント映画祭で受賞し、高い評価を受けた。
ゆきずりの恋に溺れる女と、毎日コールセンターにいたずら電話する男。二人は偶然親しくなり、親密になるが、やがて二人の関係は壊滅的な方向へ進んで行く。ほぼ10分に至るロングテークのオープニングとスタンダードサイズのモノクロ画面による息苦しさが、予想のつかない物語の展開と混じり合って妙な不安と緊張感を醸し出す。舞台監督や脚本家として活動してきたリの長編監督デビューにして、多くの映画祭で上映された。
映画製作の準備しているスミンはある日偶然殺人現場を撮影してしまったことで、男たちに追われることになる。スミンは犯人たちに容赦無くハンマーで襲われ、意識を失い、しばらくして血まみれの状態で目を覚ます。迷路のように入り組んだ道を逃げながら、スミンの過去の記憶が溢れ出し、やがて夢と現実の曖昧な世界へと彼を誘ってゆく。絶妙な空間構成や巧みな編集が際立つスリラー。釜山国際映画祭で鮮烈なデビューを果たしたパク監督の長編二作目。