かつて過激な政治活動に身を投じ、今なお逃亡生活を余儀なくされているクララとハンス、そして逃亡中に生まれた二人の15歳の娘ジャンヌ。世界のどこにも居場所がない親子の孤独を描いたペッツォルトの商業映画第一作。デビュー間もないユーリア・フンマーが鮮烈な印象を残す。
19歳のパウルはドイツ国防軍の初年兵。演習からの帰路の途中で部隊を離れ、両親の別荘に入り込み、こっそり滞在する。そこへ彼の兄マックスが恋人レネと訪れ、兄弟の葛藤が高まってゆく。ケーラーの長編デビューである本作は、内外の映画祭で数多くの賞を獲得。
ミュンヘンの大学でウィルス学を教えるヨハネスはペルシア人の同僚ファリッドと仲良くなる。だがある日、連邦憲法擁護庁からファリッドにテロリストの疑いがあるためスパイするよう要請を受ける。やがて彼らの間に職場の緊張が高まったとき、ヨハネスはある決断をする。
誘拐された娘を探しにベルリンにやってきたフランソワーズ。ベルリンの福祉施設で暮らす孤児のニナは、年長の少女トニによって外の世界へ導かれる。フランソワーズは偶然出会ったニナに娘の幻影を見る。まるで亡霊のように世界をさまよう人物を描いた「幻影三部作」の第二作。
2005年から6月にかけてのトルコ横断のドキュメンタリー。ヨーロッパとの接点であるイスタンブールから出発し、首都のアンカラを経てイラン国境のドゥバヤジットへ。都市化された西部地域から紛争の続く東部へと、現在のトルコの断面図が描き出される。遥かドイツで生まれ育った監督が旅人として自らのルーツを見つめるロード・ムービー。
かつての犯罪者仲間から命を狙われることになったトロヤンは、独自に現金輸送車を襲撃するための緻密な計画を立てる。「この物語では登場人物が絶えず移動しているが、それによってベルリンという街を見せる可能性が大きく広がった」(アルスラン)。
(c) Schramm Film
統一後のドイツ、旧東独小村にトーマスは戻ってくる。彼は亡き母の家に一人で生活し、一帯の軽食店を取りまとめるトルコ系移民のアリと美貌の妻ラウラと知り合う。『郵便配達は二度ベルを鳴らす』を下敷きにしたスリリングな三角関係が幕を開ける。