砂漠に咲く小さな花――ポルトガル映画の魅力
ペドロ・コスタ(映画監督)
それぞれの後継者、たとえば、オリヴェイラ、モンテイロ、レイスの継承者といった存在はいません。つまり、ポルトガル映画は「不思議な事件」の産物なのです。冒頭でジョアン・ベナール・ダ・コスタの「ポルトガル映画はかつて一度も存在したことがない」という言葉を引用しました。しかし、それでもポルトガル映画は存在する。ただし、それは、ポルトガルという困難で、荒廃した、ときにはとても敵意ある風土の中で、いわば砂漠に咲く小さな花のように存在している。私はポルトガル映画をそう考えています。
講演「砂漠の小さな花ーーポルトガル映画史について」(2010年)より