ファスビンダー没後25周年に寄せて アキ・カウリスマキ(映画作家) ファスビンダーは、70年代に映画を志した若い監督たちの道標でした。私達にとって彼は、当時、10年前にゴダールが持っていたのと同じくらいの影響力がありました。いずれにしろドイツ映画の新しい波は、それまで動きのなかった映画界に活気を与えたのです。「不安と魂」は、私にとってファスビンダーの最も重要な作品です。この作品の飾り気のない人間的なリアリズムは、私が僭越ながらも自分の映像スタイルと呼ぶものに、多大な影響を与えました。