「60年代大映を巡って~黄金時代の残映~元・大映東京企画部・小笠原隆夫氏を囲んで」
坂尻昌平(映画批評家)
田中純一郎『日本映画発達史4』は、「史上最高の映画時代」1951年から1963年を扱う巻だが、その最後の年の10月10日、大映宣伝部に入社した小笠原隆夫は、83日間だけ黄金時代を経験する。だが、すでに崩壊への序曲は始まっていた。社内で身近に勝新や雷蔵といった大スターに接する機会を得、70年、ダイニチ映配時代の『高校生ブルース』のプロット執筆に参加、女優関根恵子の誕生に立ち会う。大映の繁栄と没落を映画の現在の問題として考える。