第4回「活劇監督=三隅研次の真の偉大さについて、ついに語るべきときが来たのか?」
画面の中のたったひとつの動き、たったひとつの所作が、その人間の生きてきた人生、背負い続けてきた業のすべてを否応もなく私たちに突き付けてくる。どうしてそんなことが可能なのか? 見事な美術、見事な照明、見事なカット割りの中、勝新太郎、若山富三郎、市川雷蔵ら日本映画史上屈指の名優たちが生きる奇跡の一瞬。映画史上に刻み込まれた“唯一無二“の動き。それらはいわゆる“感情芝居”とはまったく別の次元で、彼らの演じる登場人物の実存を浮き彫りにする。映画とはなによりもまず「動きの創造」である。代表作『座頭市物語』や『子連れ狼』諸作、『大菩薩峠』などの作品をもとに、映画における「演技」と「動きの創造」について考察する。(塩田明彦)